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月刊ドラマ

にっぽん芸能史 稲田和浩著

本書は、日本の芸能の今日までの流れを綴った一般向きの本が皆無であることから企画しました。もちろん、歌舞伎史、映画史、演劇史、音楽史……などジャンル別の研究書や一般向けの書はありますが、落語・講談・浪曲などの話芸、歌謡など、ほぼ全ての芸能について触れた本は、少なくとも近年はありませんでした。日本ほどさまざまな芸能があり、観るのも聴くのも、やるのも盛んな国はないようです。日本の芸能を、アメノウズメの岩戸の前の踊りから、雅楽、琵琶、能、狂言、人形浄瑠璃、歌舞伎、新劇、軽演劇、アングラ、小劇場……今日の、お笑い、アイドルまで、時代の流れに沿って辿ります。巻末に概略年表を掲載。カバー、各章扉の画は、紙きり芸の第一人者・林家正楽。

著者は演芸作家、評論家。日大芸術学部卒。雑誌記者、ライターを経て作家活動に。日本脚本家連盟、日本放送作家協会に所属。著書に『食べる落語』『恋する落語』(教育評論社)、『落語が教えてくれる30の知恵』(明治書院)、『浪曲論』『大人の落語評論』(彩流社)、共著に『5人の落語家が語るザ・前座修業』(NHK出版)、『落語の黄金時代』(三省堂)ほか。


(目次)

第一章 日本芸能の最初

一、 伝達としての物語のはじまり

 ネアンデルタール人は物語を持っていた

 物語の基本は「桃太郎」と「シンデレラ」

 神話という名の教訓

二、 神と人を繋ぐ

 日本芸能のはじまりはストリップだった〜アメノウズメ

 滑稽を真似る〜ウミサチの踊り

 化ける〜ヤマトタケルと神功皇后

 今に繋がる五穀豊穣

 

第二章 宮廷芸能から庶民芸能

一、 琵琶の旅〜宮廷楽器から平家琵琶へ

 芸能の渡来

 宮廷の芸能〜雅楽、舞楽、伎楽、

 琵琶を手にする下級貴族たち

 平家物語の登場

二、 躍動する庶民芸能

 日本のジプシー〜傀儡(くぐつ)

 農村の楽しみ〜田楽、散楽、申楽

 信仰と芸能〜説経、絵解きなど

 尼僧、芸能ともう一つの役割

三、 芸能の演劇化〜能の発生

 能の発生

 観阿弥と世阿弥

 能の死生観

 狂言の笑い

四、 戦国大名と芸能

 舞う信長

 文化を保護した戦国大名

 御伽衆は落語家の元祖か

 

第三章 武士の時代の芸能

一、 歌舞伎の成立

 出雲阿国と念仏踊り

 売春と歌舞伎の妖しい関係〜遊女歌舞伎

 男色は変態ではない〜若衆歌舞伎

 演劇的な歌舞伎へ〜野郎歌舞伎の登場

 東西の名優、荒事と和事〜団十郎と藤十郎

二、 三味線と人形浄瑠璃

 三味線の登場

 人形淨瑠璃のはじまり

 恋を彼岸の架け橋に〜竹本義太夫と近松門左衛門

 事件報道としての芸能〜元禄赤穂事件と歌舞伎、浄瑠璃

三、 落語のようなものの登場

 大坂、京、江戸で辻噺

 武左衛門捕縛

 俄について

 

第四章 富と文化の移動

一、 江戸後期の歌舞伎

 歌舞伎はお江戸のファッションリーダー 

 舞台装置の革命

 鶴屋南北

 天保の改革と歌舞伎

 素人歌舞伎と農村歌舞伎

二、 見る芸能からやる芸能、江戸音曲の発展

 江戸浄瑠璃の人気

 宮古路豊後掾

 常磐津、富本、清元、新内の登場

 女浄瑠璃

 新内節の登場

三、 講談〜太平記読みの芸能化

 講談の発生

 深井志道軒

 講談は天下のお記録読み

四、 落語の発生

 昔噺の会

 はじめての寄席興行〜初代三笑亭可楽

 流祖たちの活躍

 寄席も禁止〜天保の改革

 落語は平和ボケの象徴

 

第五章 近代の息吹

一、 薩長がやってきた

 江戸幕府崩壊の理由

 武士道として語り継がれた芸能〜薩摩琵琶

 田舎者に江戸の芸がわかるか!

 芸人の鑑札制度

二、 近代の落語

 三遊亭圓朝 

三遊派と柳派

 珍芸の人気

 江戸落語への回帰〜落語研究会

 明治大正の新作落語〜益田太郎冠者

三、 明治時代のアイドルたち

 娘義太夫の人気

 夏目漱石や正岡子規もドースル連

 豊竹呂昇

四、 浪花節の起こりと隆盛

 幕末はヒラキ

 鑑札を取得し寄席出演へ

 浪花節の人気

 無頼の浪花節語り

 桃中軒雲右衛門

 浪花節隆盛の理由〜庶民は銭湯で浪花節をうなった

五、 歌舞伎改良運動と新劇の登場

 幕末から明治の歌舞伎

 河竹黙阿弥

 歌舞伎改良運動と散切り歌舞伎

 新劇〜坪内逍遥と小山内薫

 オッペケペーだ、壮士芝居

 

第六章 大正、昭和の芸能

一、 レコードの登場

 快楽亭ブラックという人

 浪花節大ヒット〜奈良丸くづしと雲右衛門版権事件

 浪花節が次々にヒット〜篠田實、鼈甲斎虎丸

 知識人は浪花節が嫌い

 歌謡曲の登場

二、 ラジオの時代〜浪花節から浪曲へ

 ラジオ放送開始

 広沢虎造と次郎長伝

 軍国浪曲と七つの声〜二代目天中軒雲月(伊丹秀子)

三、 大正モダンの時代の落語

 関西落語の歴史

 東西交流により変化する寄席とネタ

 寄席の衰退

 大正モダンな落語たち〜柳家三語楼、柳家金語楼

四、 活動大写真

 活動写真のはじまり

 サイレントのスターたち

 活弁のスター

 サイレントからトーキーへ

五、 大正から昭和の演劇の動き

 大正期の新劇〜築地小劇場、プロレタリア演劇運動

 帝国劇場の開場

 待ってました、新国劇〜沢田正二郎の新しい演劇

 浅草オペラ

 それは温泉地の客寄せからはじまった〜宝塚歌劇団

 少女歌劇ブーム〜松竹歌劇団

 歌舞伎界にも新風〜前進座の結成

 エノケンとロッパ

六、 昭和の新しい芸能

 吉本レビュー

 あきれたぼーいず

 萬歳から漫才へ

 安来節も浅草で大人気

七、 戦争と芸能〜国家権力が芸能を利用した時代

 昭和一〇年頃の日本

 大政翼賛会による浪曲国策運動

 禁演落語

 軍歌

 慰問に行く芸人たち

 

第七章 戦後の芸能

一、 焼け跡の芸能

 焼け残った寄席

 GHQの検閲、歌舞伎危うし

 ラジオの検閲と演芸の改革

 戦後の新劇

 紙芝居と失業対策

 カストリ雑誌とアンダーグランドなエロス芸能

二、 落語の黄金時代

 戦後の落語事情

 落語家の専属契約

 ホール落語の登場

 新作落語の時代〜歌奴、三平、米丸ら

 時代の風俗を描く新作落語

 戦後の上方落語〜壊滅からの復活

 LPレコードで、江戸の息吹が現代に

 三、 浪曲の衰退

 民間放送で連続浪曲と聴取者参加番組

 歌謡浪曲の登場

 浪曲から演歌へ

四、 さらば箏、三味線〜国民から離れてゆく邦楽

 邦楽の歴史

 現代邦楽

 戦後歌謡曲の変遷

 民謡の変遷

五、 赤化する芸能

 六〇年代の世相

 新劇の時代

 赤い邦楽

六、 娯楽の王様、映画〜そして世界へ

 チャンバラ復活

 黒澤明、世界へ

 映画の黄金時代

七、 テレビの時代

 テレビ登場

 ラジオの人気と終焉

 テレビドラマ

 

第八章 芸能乱立時代

一、 テレビと映画

 テレビの時代

 日本映画冬の時代

 復活する日本映画

二、 落語の興亡〜平成の落語ブームへの道

 落語の危機

 テレビの落語〜「笑点」を企画した男、立川談志

 立川談志と五代目柳家つばめ

 落語家の過剰〜分裂騒動

 新作による落語革命〜三遊亭円丈の実験落語

 上方落語の動き

 21世紀の落語ブーム

三、 お笑いの進化〜漫才ブームとその後

 関西は吉本

 東京漫才史

 漫才ブーム

 寄席外からのお笑い参入1〜音楽系

 寄席外からのお笑い参入2〜タモリ、そしてお笑い戦国時代へ

 テレビ以外の新しいお笑い〜渋谷ジァンジァン

 平成以降のお笑い〜養成所時代

四、 アングラ演劇から小劇場へ

 アングラ演劇の時代〜演劇は劇場を捨てた

 舞台を捨てて町に出よ〜寺山修司

 アングラから小劇場へ〜つかこうへい、野田秀樹

 お笑い系劇団、過激に戦う

 お友達劇団炸裂〜現代の小劇場

 儲かる芝居はやはり歌舞伎とミュージカル

 大衆演劇・喜劇はいま

五、 その他の古典芸能

 狂言ブーム

 浪曲はどっこい生きている

 講談を聞きましょう

 文楽はいま

 女流義太夫はいま

六、 多様化する音楽ニーズ

 ロカビリーブームからグループサウンズ

 テレビアイドル歌手時代

 フォークソング、そしてテクノポップ

 バンドブームとワールドミュージック

 それでもおじさんはマイクを離さない〜カラオケの時代

 音楽は世代を超えない〜Jポップの時代

七、 エロス芸能の行方

 ストリップVS警察

 日活ロマンポルノの時代

 変態の社会的認知〜SMの世界

 家庭用ビデオ受像機の登場で大きく変わるエロスの世界

 現代に生きるアメノウズメ

 

「にっぽん芸能史」概略年表

にっぽん芸能史

『にっぽん芸能史』/稲田和浩・著

  • B6判 280頁
  • 定価1,620円(本体1500円+税)
  • 送料300円
  • ISBN978−4−87100−236−3
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